「アメリカとアジア 太平洋をはさんで想うこと」7/9

仕事はなんのため。
これが私の大きな命題でしたが、間違いなく言えるのはその時点でもう日本の終身雇用などは音を立てて私の心の中で崩れていくのが分かりました。
そしてそれらが近い将来、機能しなくなる。そんな予感がしました。

アメリカで日本の現地法人に優秀な米国人はまず来ない。なぜならストックオプションもインセンティブも何もない。
行動の源泉となる心の中に火をつけるものが、今までは一族の名誉、国の誉れ、故郷のほこり、個人の名誉、いろいろあると思います。でもアメリカ人にとって日系企業で働くことに何の誉れもないのです。

アメリカとアジア 太平洋をはさんで想うこと

ビック3で上に昇る可能性のある社員は(当時の話ですが)絶対に日本のメーカーに転職はしません。
彼らにとってなんの誉れも、ストックオプションもインセンティブもないからです。日系企業は単純に首切りをおそれる-つまりリスクを冒すことを極端に嫌うアメリカ人だけが来るところです。-もちろん優秀な方もいることは事実ですが、かなりの頻度でダメ社員が多いということです。これには本当に考えさせられました。

そのことに気付いた多くの日本の企業は考えを改めて、いろいろな方法を今では採用していると思います。そしてかつてないほどの優秀な方を採用している事実があります。日本の企業のトップがアメリカ人やイギリス人でも問題はないのです。

デールの会社のように経営陣の目標が会社を高く売るため、これには参りました。


「アメリカとアジア 太平洋をはさんで想うこと」より抜粋

清水 大輝

筆者略歴

  • 昭和47年 工学部機械工学科卒業
  • 三井系の機械メーカーに就職
  • 海外製鉄所向けのプラント
    見積もり設計の国際入札の窓口を5年経験
  • ケミカルメーカー
    国内営業を経験後、フィリピン・マニラに駐在事務所を開設
  • シンガポール駐在を経て米国ロスアンゼルスに赴任
  • 米国でデトロイト、アトランタの事業所を開設
  • LAとオハイオに工場を建設
  • ノースアメリカの代表となる
  • 大手自動車メーカーとの取引を10年かけて開始

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