「海外オペレーションと今後の語学学習の考え方」6/7
次に海外オペレーションでの増員の考え方をお話します。
オペレーションの規模が大きくなり、日本からの増員をしたことがあります。結果は増員が減員に繋がりました。
日本の10年選手を連れてきても、右も左も分かりません。食事に行くにも日本レストランなどもありません。金魚のフンのようについて来るだけです。ですので、増員ということは6〜10か月は減員を覚悟して増員する必要があります。日本からの出向社員が10人を超えると1人の負担が減りますので、そうでもなくなります。理想は出向社員が4〜5名で、現地社員が100名以上ですが。
特に、偉い人がいきなりトップで赴任すると、この人はほとんど現地秘書がいろんなことをしてくれるので、全く語学の習得の機会を失ってしまいます。現地社員の秘書で、人によってはトップの家のトラブル、奥さんの買い物の手伝い、これらが自分の仕事と割り切り手伝ってくれますが、それによって良い勤務評定を期待しているという喜劇が起こります。
教訓としては、海外赴任でポジションが下の人(つまり兵隊)の方が早く語学を覚えます。
私は若かったので、まったくの兵隊の状態でアメリカという大市場に放り出されたのですが、これが結果的に良かったのです。(しかも会社にお金が全くなかったのが、さらに良かった。あれだけ金のない状態で資金繰り、売上を確保しながらやってきたと大きな自信がついたのは大きな収穫です)
アメリカで成功している日本の企業は、語学のできる人よりも仕事のできる人を優先させて派遣して成功していることをお伝えします。
家電の大手メーカーで乾電池を製造している会社がアトランタにありましたが、社長以下総員4名で400人のアメリカ人を管理していました。全員海外経験があり手慣れたものでした。そこの社長は、若いころ見本の乾電池を抱えて、中近東を一人で飛び回っていた人です。海外赴任に対する覚悟が違っていました。
清水 大輝
筆者略歴
- 昭和47年 工学部機械工学科卒業
- 三井系の機械メーカーに就職
- 海外製鉄所向けのプラント
見積もり設計の国際入札の窓口を5年経験 - ケミカルメーカー
国内営業を経験後、フィリピン・マニラに駐在事務所を開設 - シンガポール駐在を経て米国ロスアンゼルスに赴任
- 米国でデトロイト、アトランタの事業所を開設
- LAとオハイオに工場を建設
- ノースアメリカの代表となる
- 大手自動車メーカーとの取引を10年かけて開始
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