「アメリカとアジア 太平洋をはさんで想うこと」3/9
目まぐるしく忙しいサンフランシスコの数日を過ごしました。
日本の各自動車メーカーのお歴々は本当に真剣な姿勢で対応をしていました。なにしろ購買をすることを前提に技術のプレゼンを受けるわけです。これまでの「物が良くてコスト競争力があればチャンスをあげるよ」というスタンスではありません。アメリカ側から数値目標が出されていたと思います。
会場で随分と質問を受けました。日本のメーカーの現地法人の代表が、何故アメリカのメーカーの技術通訳をしているのか。みなさん同じ質問です。
アメリカでビジネスをさせてもらっている恩返しだと答えて、その都度納得をしてもらいました。
なんと全米の部品メーカーの50社の中から、最も興味深い会社の10社にデールの会社が選ばれてしまいました。
当時のビック3の命題は、軽量化、燃費、そしてQuietness(静かさ)です。
デールの会社はこの命題に、見事答えを出しつつありました。エンジンブロックとピストン関連以外をすべてプラスチックにする構想です。しかも鋳物部品ならば、別々に製造していたものを何点かづつ一体成型をしてモジュール化することで、部品点数を減らしていくというものです。アリゾナのテストコースで5万マイル、10万マイル 種々のテストをデールの会社の部品がクリアしていました。
今でこそ3Dのマシンが脚光を浴びていますが、デトロイトではその当時すでにその機械装置がありました。そしてデールもこの装置を自在に操っていました。
レザーでコピーをする部品をなぞって、それと同じものをUV樹脂で硬化させて再現させるものです。ものすごい高価な装置です。汎用化したのはコストダウンに成功したからです。
鋳物部品よりプラスチックの成形部品の方が設計的に自由度があります。難点はプラスチックの耐熱性ですが、その当時すでに多くの欧米のプラスチック材料メーカーはそのあたりも問題なくクリアしていました。
清水 大輝
筆者略歴
- 昭和47年 工学部機械工学科卒業
- 三井系の機械メーカーに就職
- 海外製鉄所向けのプラント
見積もり設計の国際入札の窓口を5年経験 - ケミカルメーカー
国内営業を経験後、フィリピン・マニラに駐在事務所を開設 - シンガポール駐在を経て米国ロスアンゼルスに赴任
- 米国でデトロイト、アトランタの事業所を開設
- LAとオハイオに工場を建設
- ノースアメリカの代表となる
- 大手自動車メーカーとの取引を10年かけて開始
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